【酒蔵訪問記①】光栄菊酒造|「酒は米から」を貫く佐賀・小城の現場(2026年2月6日)

2026年2月6日

約1年ぶりに佐賀・小城の光栄菊酒造さんを訪ねた。 小城駅に降り立つと、まず目に飛び込んでくるのは羊羹屋の多さ。街の規模に対して驚くほど多く、甘味文化の厚みを感じる。 そんな風景を眺めていると、田下さんが車で迎えに来てくださった。



自社管理の田んぼと「酒は米から」の信念

蔵に着くと、まず話題は “米づくり” から。 蔵の目の前の田んぼを、新たに借りる計画が進んでいるらしく、昨年は3枚の田んぼを自社管理していたとのこと。 暗渠(あんきょ)排水がしっかり整備されたエリアで、水も豊富。米づくりにとって理想的な環境が整っている。 「酒は米から。」 光栄菊さんの姿勢がよく伝わる。

酒米「さがの華」と「春陽」が放つ香りの探究

酒米の香りの話も面白い。 「さがの華」は杉のようなグリーン香を生む珍しい米で、親に若水を持つため同系統の香りが出るらしい。 また、春陽の独特の香りについては、酵母のアミノ酸不足が原因とする説があるものの、まだ確定ではなく調査が続いているとのこと。 香りの背景にある“理由”を探る姿勢が、光栄菊酒造らしい。

現場のリアル:『Sukai 清海』の火入れと徹底した温度管理


設備の話も興味深い。 新定番品『光栄菊 特別純米 Sukai 清海』の火入れの効率化のため瓶燗機を導入したものの、さらなる冷却能力をもとめて、急冷は人の手で補っているという。いかに早く温度を落とすか、現場で工夫を重ねている姿に頭が下がる。
生酒の充填はマイナス5度。他社では凍結を避けるため2度程度まで上げることが多い中、より低温での運用を実現しているのは驚きだった。


光栄菊 Sukai -清海-(画像をクリックすると商品ページに移ります)

 

麹造りと仕込みのこだわり

春陽の麹も試食させてもらったが、これがとにかく硬い。せんべい以上の硬さで、しっかり枯らしているのがよくわかる。 麹室は床と盛の2部屋構成で、中央に空間を設けて湿度・温度を調整しやすい造り。枯らし場は別室で管理されている。
仕込みは前半・後半に分かれ、正月は完全に仕込みを止めるスタイル。 訪問時は後半最初のしぼりで、ヤブタ(圧搾機)は使い始めの段階では目が馴染む途中で、しぼりの表情に初期ならではの個性が出る時期とのこと。ここから徐々に整い、蔵が求める味わいへと収束していくという。


光栄菊ラインナップ 一覧(画像をクリックすると一覧ページに移ります)

新たな挑戦:日本酒の樽熟成への追求

こうした “現場のリアル” を聞けるのは蔵訪問の醍醐味だ。 さらに、日本酒の樽熟成にも挑戦しており、約10樽で可能性を追求中。ブレンドのタイミングも見学させてもらい、光栄菊さんの探究心を改めて感じた。

今年の光栄菊も、ますます楽しみになった一日だった。

左から光栄菊酒造:杜氏 山本克明氏、籠屋秋元商店:代表取締役 秋元慈一、光栄菊酒造:取締役 田下裕也

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